中学2年生のぼくは、その「キャンプ」にはあまり乗り気ではなかった。なにより集団行動が苦手だったのです。それでも、毎年行なうそのキャンプは村の恒例の行事になっており、龍郷湾の向こう岸の砂浜に船で渡って、そして中学生だけでキャンプを張る、というもので、ぼくは憂鬱な気分で参加した。
あいにくとその年は台風が接近中ということで、舟が出せる状態ではなく、近場の砂浜でキャンプをすることになった。
シマの夏はとても激しい。
昼間の砂浜は、裸足であるくと足の裏がやけどするくらいに砂が熱く、はだかで泳ぐと体はすぐに真っ赤に焼ける。焼けた膚は何日かすると白いぶつぶつができ、そのあと薄い膜のようになり、それを手で剥がしていく。そしてまた何回も太陽で焼かれて、その繰りかえしでシマの「褐色の少年達」ができあがるわけです。褐色の日焼けの色は、いわば夏休みの少年たちにとっての勲章だったわけです。
「夏」はシマでは「日常」であり「特別なもの」だった気がする。
台風の影響で風は強かったが太陽の陽射しは相変わらず激しく、テントを張りおえた男子は汗でビショビショになったTシャツを脱ぎ捨て、一目散で海に飛び込み、女子は夕食の準備に取りかかった。「キャンプ」という非日常的なもののせいか、ぼくもいつの間にか気分が高揚していた。「夏」の下では全員が幼い少年なのだ。
「よし!これから女子のおっぱいを触りにいくぞ」
やんちゃで一番色の黒いN君が言った。
深夜のテントの中、みんなもう眠っているのかと思いきや、やっぱりみんなも気分が高揚しているのか寝付かれなかったらしい。もう既に「夏」に侵されてしまったぼくは真っ先に同意し、男子4人で女子テントに忍びこむことになった。 「夏」のせいです・・
いつの間にか暗闇にも目が馴れていた。真っ暗な隣りのテントにそっと入っていくと、何人かの女子が寝ていた。いちばん最初にぼくの目に飛びこんできたのは「いっこちゃん」の寝姿だった。Tシャツを着て、毛布を体の半分くらいまでしか掛けてない、そのいっこちゃんを見ながら、ぼくは初めてドキドキしてきた。
いっこちゃんはぼくよりもひとつ年上で、家もそんなには離れていない近所だった。お互いに兄や姉が同級生だったせいか、小さいころはよく一緒に遊んでいたものだ。細身で小柄だった彼女は目鼻だちのしっかりした、いわゆる「かわいこちゃん」で、でもその見た目とはうらはらに、とても活発でおてんば娘だった。
あの小さくてちょっとだけかわいくておてんばだったいっこちゃん、いつしか一緒に遊ばなくなり、そして中学3年生になったいっこちゃんの、Tシャツを着て眠っているその姿を見ながらドキドキしていた。 「夏」のせいだ・・
ぼくはTシャツの上から、静かにいっこちゃんのおっぱいを触った。昼間泳いだからなのか・・たぶんブラジャーはつけてないのだろう、じかにいっこちゃんのおっぱいの感触が手の平に伝わった。 あぁ・・なんてやわらかいんだろう と思った。 昼間の太陽の熱までも伝わるようで、ぼくは両手でいっこちゃんのおっぱいを触りながら「夏」を感じていた。
っと、ぼくの手に少し力が入ったのだろうか・・いっこちゃんが突然、目を開けた。
目と目が合った。
それは一瞬だったのか、それともながい間だったのか・・
ぼくの頭のなかは真っ白になり、目が合った間でさえ手をのけることまでも忘れ、いっこちゃんのおっぱいの上にはぼくの両手が乗っかったままだった。互いに無表情で目と目を合わせたままふたりは固まってしまったのだ。
そしていっこちゃんは、なぜか目を閉じた。
ぼくは、はっと我にかえってテントを飛び出したのだった。
あのとき彼女はなぜ無表情のまま目を閉じたのか。いまでもわからない。
恐かったのか。感じていたのか(いや、それはないか・・)。これは夢なのだと思ったのか(これもないか・・)。もっと触ってほしかったのか(絶対ないか・・)。夏のせいなのか(・・・・)。
キャンプを終えたぼくは、いっこちゃんとバッタリ合いはしないだろうかと、ひやひやしながら夏休みの後半を過ごしたが、あいにくと合うことはなかった。そして二学期が始まり、昼休みの水飲み場でとうとう鉢合わせをしてしまったのです。
思いっきりビンタを食らわされました・・・・・・・・・・・
頬はとっても痛くて
手の平はとっても気持ちのいい
夏の思い出です。
あれがトラウマにもならず、
逆におっぱい大好き人間になれたのも、
いっこちゃんのおっぱいのおかげです。
いっこちゃん ありがとう。
いっこちゃん、
ぼくは君のおっぱいが大好きです。