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くじら浜 2001 07/18

今井崎から右手に広がるくじら浜

灼熱の陽射しを浴びた砂たちが
ジリジリジリ と怒り狂うその斜面を
容赦なく裸足で一気に駆け降りる

踏まれた真っ白な砂たちは
また ジリジリジリ と起き上がり
怒ったその顔までもが
ウキウキウキ

やがて水平線の向こうから
雨が足早に走ってきて
真っ白な子供たちは天を仰ぐ


斜面の上には無数のアダン
砂浜には透明なカニが コチョコチョコチョ

アマンは宿で涼みながら
波の音 静かに聞いている

ゴツゴツだらけのでっかい岩の下の方には
打ち寄せる波でできた小さな洞穴があり
そこを抜けるとくじら浜

洞穴をいくつも抜けるたびに
その景色はひとつひとつ広がっていき
少しずつ少しずつ
くじら浜に近づいてゆく

決して人が来ることはない
ぼくだけのくじら浜

満潮になると帰り道がなくなってしまうくじら浜
急いで急いで
帰ったんだ



くじらになった少年 2001 08/07

放たれた日常の刃が
胸を深くふかく抉って
ほとばしる赤は
夕刻西の空に朱と同化するのだろうか

その体温さえも忘れるほどに
その場所は遠いのかい

記憶の渦を
一本いっぽん辿っていって
燃える太陽の下
蝉はなぜあんなにも激しく叫び
向日葵はなぜあんなにも天を求め
夏ななぜそこにある

浮き上がった傷痕を
この陽にさらし
少年はいつもこの砂浜で目を閉じていた

渇いた傷痕は
したたる汗で
潤うのかい

体温は
その微熱で
戻るのかい

満潮
夕暮れ
それでも少年は帰ることはなく
真っ赤に染まった夕焼けと
静かにしずかに沈んでいく太陽を眺めながら

いつまでも
くじらを待っていた
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