おにいちゃんの方が幼稚園児くらいの頃だったと思う。部屋中をやんちゃに駆けまわるおにいちゃんの後を、まだよちよち歩きのいもうとが必死に追いかけていた。そんな我が子のようすを姉は幸せそうに見ていた。
高校を中退したいもうとははたちになり、もう一度やりなおしたいと、専門学校に行くためにおにいちゃんを頼って今年上京したばかりだった。
急な知らせを受けて駆けつけたお父さんは、丸一日たってようやく娘に会うことができた。業者によって化粧を施されたその顔を見て、きれいだったよ、と顔をくずして笑っていた。おにいちゃんも気丈に笑っていた。
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