日曜日は朝から晴れていた。その晴れた青空で豆のはじけるような花火の音がした。うちあげられたボールがわれて、なかから小さな落下傘が三つ、四つゆっくりと歩行者天国で賑わう大通りに舞いおりてくる。アイスクリームをなめていた子供や若い恋人たちが笑い声をあげながら、その落下傘を拾いに走った。
花火の音は勝呂医院の診察室にまで聞こえてきた。太鼓の音もする。もうしばらくすると町内の若い者たちがかつぐ御輿も出るだろう。神社の周りには露天がずらりと並んでいる。色とりどりの風船やお面を売る店、餅細工の店、鯛やきの店、イカを焼く煙。綿あめがどんどん大きくなっていく。
「悲しみの歌」
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