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深夜も1時をまわった頃、大田区の閑静な住宅街を走っていたら、道のまんなかで50代くらいの女の人がエプロン姿のまま両手を振っていた。いやな予感・・がしたが乗車拒否するわけにもいかず、仕方なく車を止めドアを開けた。

「 どちらまでですか? 」
「 この先の国道に出てください 」
と言って女性はハーとため息をついた。

「 実は徘徊老人を探しているんですよ。前もそこの国道を歩いていたもんですから 」
「 ・・・・・・ 」
ハーと今度はぼくがため息をついた。

立会道路から国道1号線を右折して五反田方面へ向かった。
「 ゆっくり走りますね 」
三車線の国道のいちばん左車線を気をつけながらゆっくり走る。警察にも連絡して探していただいてるんですけどねー、すいませんねー、と女性は恐縮しながら車内から目をこらして外をうかがっている。5つ目の信号を越えたあたりにコーヒーの自販機があり、ひとりの老人がそのぼんやりと光る自販機の前に佇んでいた。

「 イター! 」
その声にびっくりして思わず急ブレーキを踏んでしまった。女性は車からとびだし、おかあさーん!と叫び、老人の元に駆け寄った。一言二言なにか言ったあとにふたりで車に戻ってきた。女性はぼくにお礼を言い、さっき乗ったとこまで戻ってくださいと言った。

「 ひとりで出ないでって言ったでしょ 」
「 はいわかりました 」
老人はわりとはっきりとした口調で返事をした。
「 運転手さんも一緒に探してくださったんですよ 」
「 これはこれはどうもありがとうございました 」
老人はやっぱりはっきりとした口調でペコリと頭を下げた。

やがて自宅に到着すると、ほんっとにありがとうございました、と母子(たぶん)は揃って頭を下げた。


タクシーを6年もやっていると、いろんな面白い客や出来事に遭遇する。
タダ乗り未遂家出少女、ワイシャツ血まみれサラリーマン、ハッピバスディ坊さん、つぶやき五郎おばさん、追跡1・2・3、〇〇〇な女(とても書けません・・)、雨の日は機嫌のいいおじさん、 などなど事欠きません。
こんなおもろい商売はありません・・


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無題
老人介護は確実に「各々の家庭で」という国の方針どおりになりつつあるのですね。
田舎だとそれなりに地域の人達が目を配ってくれそうな気もするけど・・いやよほど小さな集落じゃないとそんなこともないかな・・ちゅうか、逆に小さな集落だと老人ばかりかもしれないね。
その女性の、「ひとりで出ないでって言ったでしょ」という言葉が辛いなぁ、、、つい口に出ちゃうのでしょう。出てっちゃった老女、深夜に何を探してたのかなぁ、きっと何か心にひっかかるものがあるのだろうなぁ。。。
どっちも辛いね、看てるほうも、看られてるほうも。
あぁでも、良い運転手さんに当たって良かった。お疲れさまでした。
PS:かなり遅れたけど、誕生日おめでとう!
m_a 2013/08/01(Thu)21:47:54 edit
r
タクシーには本当に毎日々々いろんな人たちが乗車してきます。
まるで人生の縮図を見ているようです。
そして、その縮図に自分もほんの少しだけ関わることができるというのがこの仕事のおもろいとこだねー。
夢使い@管理人 2013/09/04(Wed)18:01:30 edit
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