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前の車を追って!

品川駅港南口のあたりで若い女性があせり気味に乗車してきた。
前の車は小型のマイクロバスで、窓には黒い目隠しがしてあったので、中の様子をうかがうことはできなかった。ぼくは言われるままにその車を追った。付けられていることに気づいているのかどうかわからないが、その車はそんなにスピードは出していなかった。

信号をふたつ越えたあたりで、「前の車はどこへ行くんですか?」 と訊ねると、 「わたしもわからないんですよ・・ このまま行くとどこ方面ですか?」 と、逆に質問された。 「この先のつきあたりを右に行くと横浜方面で、左に行くと都心へ向かいます」 女性は前の車から視線を逸らさずにコクリとうなずいた。

つきあたりの信号が青にかわり、マイクロバスは左に曲がり都心へと向かったので、ぼくもすぐにその後を追った。すると車間が少しあいたその隙をぬって、赤い車体のタクシーがやや強引に割り込んできた。 「たぶんあのタクシーも前の車を追っているんだと思います」 と女性は言った。

そういえば、左車線にはそのマイクロバスを少し前にして、黒いセダンの乗用車がぴたりとくっついて走っている。たぶんその乗用車も追跡中なのだろう。 しばらくのあいだ、赤いタクシーと黒のセダンとぼくの車の3台は、ちょっとした隙をついてはマイクロバスの後ろを取り合うようにして走行を続けた。ぼくがすぐ後ろを走りそのあとに黒のセダンが付き左車線に赤いタクシーが並ぶ。信号が変わると、赤いタクシーがぼくの前に割り込み黒のセダンは左車線に移動する。そうした走行を繰り返していくうちに、いつの間にか3台には不思議な連帯感みたいなものができあがっており、あうんの呼吸でその整隊のローテーションを繰り返した。

「この付近に大きなホテルはありますか」
「はい、外資系の大きなホテルがあります」
「たぶんそこに向かってるんだ思います」

なるほど、マイクロバスは確かにそのホテルへの順路をたどっている様子だった。他の2台も行き先に気づいたのか車間がやや広くなり、さっきまで流れていた緊張感もしだいに薄れていった。

やがて、その外資系ホテルに近づいたマイクロバスはスピードを緩め、左にウインカーを出してホテルへ入っていった。ぼくたち追跡の3台はそれぞれ入り口付近に車を停車した。タクシー2台はお互いの客を降ろし、黒のセダンはしばらくそのままそこで待機していた。

そして、ぼくらはクラクションを鳴らし合って、それぞれに散っていった。


たまにこんな愉快な事があるからこの仕事はおもしろい。

で、標的の車中の人が誰だったかというと、韓国の某アイドルグループだったようです。
名前を聞いてもわかりませんでした・・興味ないし。


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