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いつものホテルで付け待ちしていると、50代位の女性が乗車してきた。
「どちらまでですか?」と尋ねてもうつむいたまま何も言わない・・ 再度「どちらまでですか?」と言っても黙ったまま。なかなか車が出ないので、ホテルのポーターが心配そうに車内を覗き込んでいる。しばらく間をおき、その女性は顔をあげうつろな目つきで「平和島駅まで」と、ようやく行き先を告げた。

ホテルを出て最初の信号で右にウインカーをだすと、その女性が何かぼそぼそとつぶやいた。話しかけられたのかと思い、「はい、なんでしょうか?」と問いかけると、それを無視してまたぼそぼそと・・・。なんだ独り言かと、そのまま走行していると、今度は大声で笑いだした 「五郎ちゃん、五郎ちゃん、ちがうのよ五郎ちゃん、あはははは」 と、ひとしきり笑いに満足したあとに、またうつむいてぼそぼそぼそと独り言が始まった。

とうとう平和島駅に到着するまでその女性はつぶやき続けていた。

午後10時15分
大井町の定位置で車を停車していると、路地から頭をツルツルにした女性のお坊さんが乗車してきた。もうこのお坊さんは5、6回くらい乗せていて顔なじみのお客さんだ。週の前半この時間この位置で待ってたら、けっこうな確立で遭遇する。赤ら顔のお坊さんは「今日はあたしの誕生日だったのよ、はい、もらったクッキーあげる」と、かなり高級そうなクッキーを僕にくれた。そして「あなたも一緒に歌って!ハッピーバスディ~トゥ~ユ~~」と歌いだし、ぼくも強引に歌わされた・・

深夜4時
五反田から西馬込までのお客さん。「着いたら起こして」と、そのお客はすぐに眠ってしまった。この時間のこのパターン・・ 慎重に運転し慎重にお客を起こした 「お客さま着きましたよ」 「あ、ありがとう」

なにごとも起こらなく平和な一日が終了した。

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混乱と破壊によってある一定の秩序が生まれる。いつもそうやって新しい時代が始まる。
ビッグバンで宇宙が誕生したように。

次の時代を暗示するかのように、とつぜん激しい雨が降った。
そしてすぐに雨はあがって青空が広がった。

新しい空は眩しく深かった。

夕暮れが少しづつ早くなってきた。昼間はあいかわらず残暑が厳しいが、さすがにもう9月の半ばなのだ。スカイツリーの横に、朱色にそまった蜘蛛の巣のような雲がうかんでいる。蝉の声はリンリンリンと鳴く虫の声に変わる。

一瞬、風が吹きぬけた。
歩行者用の信号が、カチッカチッと青色を点滅している。
半ズボンの小学生が風を追うように駆けていった。

雲の流れはわりとゆっくりで、蜘蛛の巣はしだいに形を変えながら色を消してゆき、右に流れる。
そろそろ月が出る頃だ。

わっさわっさと、それはそれは大きなおっぱいが上下に揺れながらぼくに迫ってきた。
ぼくはバックミラー越しに、そのおっぱいに暫く目がくぎ付け状態になっていたが、その若い女性がドアをコンコンと叩いた音に、ハッと我に返った。

「あの黒い車を追ってちょうだい! 急いで!」
そのおっぱい、いや・・女性は、後部座席から前かがみ状態に大きな胸をシートにおしつけながら、前の黒い車を睨んでいる。  また追跡かよ・・・

「うん、今タクシー乗った。浜松町から田町の方へ向かってる。 いや、ひろしだけだよ。あ、運転手さん、気づかれないようににすこし離れて走ってください。あ、左車線に移動して!」
女性はケイタイを掛けながら、同時にぼくにもいろいろと指示をしてくる。
「この先の交差点て右折できるのかな、うん、たぶんよう子のところに行くんだと思う。右折できないんならまだまっすぐ行くと思うんで、このまま左車線にいてください」
もはやケイタイに喋っているのかぼくに喋っているのかわからない状態になってきたので、ぼくは前の車を見逃さないことだけに集中した。

「あ、あそこから行くんだ、ちがう、よう子のところじゃないみたい。たぶんあそこから回りこむと思うので、後を追わないでその角で止めてください」
女性はケイタイを切ると、大きな胸で深呼吸をした。

「○○○円になります」
「おつりはいらないです」
千円札を2枚出して、女性はまたそのおおきなおっぱいを上下に揺らしながら横断歩道を駆けていった。
 

9月はめまぐるしく変化する空模様で始まった。
夕方、西の空に虹の両足が架かっていた。
低気圧が接近中の関東は明日は荒れた天気になるだろうと、ニュースキャスターがやや興奮気味に伝えていた。

この雨で夏が終わる。
9月はいつも突然やってくる。

おにいちゃんの方が幼稚園児くらいの頃だったと思う。部屋中をやんちゃに駆けまわるおにいちゃんの後を、まだよちよち歩きのいもうとが必死に追いかけていた。そんな我が子のようすを姉は幸せそうに見ていた。

高校を中退したいもうとははたちになり、もう一度やりなおしたいと、専門学校に行くためにおにいちゃんを頼って今年上京したばかりだった。

急な知らせを受けて駆けつけたお父さんは、丸一日たってようやく娘に会うことができた。業者によって化粧を施されたその顔を見て、きれいだったよ、と顔をくずして笑っていた。おにいちゃんも気丈に笑っていた。

 

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